■四友贊
四友贊
(四つの文房寶具(筆・墨・紙・硯)を讃える。)
墨をするのは硯の丘でそのかたちは先生のおなか、その上で潤沢な色になるまで何度もこすります。それから筆にたっぷりと墨を含ませると鋒都尉の髷と頭のようです。良い硯で磨ったよい墨、良い用紙に良い筆で書を書くことで仲立ちをするとそのあとは暗いことでまったく暗い所で致すだけです。詩文によって草書体の書は畝ってうねってそれからやすみ、そしてやすみます。
四友贊
(四つの文房具(筆・墨・紙・硯)を讃える。)
磨潤色先生之腹,濡藏鋒都尉之頭。
墨をするのは硯の丘でそのかたちは先生のおなか、その上で潤沢な色になるまで何度もこすります。それから筆にたっぷりと墨を含ませると鋒都尉の髷と頭のようです。
引書媒而黯黯,入文畝以休休。
良い硯で磨ったよい墨、良い用紙に良い筆で書を書くことで仲立ちをするとそのあとは暗いことでまったく暗い所で致すだけです。詩文によって草書体の書は畝ってうねってそれからやすみ、そしてやすみます。
(四友【しゆう】の贊)
磨けば色潤わせるは 先生の腹,濡らせば鋒に藏して 都尉の頭。
引書 媒しては 黯黯【あんあん】たりて,入文 畝以って 休休たり。
薛濤詩『四友贊』 現代語訳と訳註
(本文)
四友贊
磨潤色先生之腹,濡藏鋒都尉之頭。
引書媒而黯黯,入文畝以休休。
(下し文)
(四友【しゆう】の贊)
磨けば色潤わせるは 先生の腹,濡らせば鋒に藏して 都尉の頭。
引書 媒しては 黯黯【あんあん】たりて,入文 畝以って 休休たり。
(現代語訳)
(四つの文房具(筆・墨・紙・硯)を讃える。)
墨をするのは硯の丘でそのかたちは先生のおなか、その上で潤沢な色になるまで何度もこすります。それから筆にたっぷりと墨を含ませると鋒都尉の髷と頭のようです。
良い硯で磨ったよい墨、良い用紙に良い筆で書を書くことで仲立ちをするとそのあとは暗いことでまったく暗い所で致すだけです。詩文によって草書体の書は畝ってうねってそれからやすみ、そしてやすみます。
(訳注)
四友贊
1.(四つの文房具(筆・墨・紙・硯)を讃える。暗に、男女の性行為の描写をしつつ、花や文房具にすり替える。下ネタの歌)
2. 四友 文房四寶1 画題となる四つの花。雪の降るころに咲く玉椿・蝋梅(ろうばい)・水仙・山茶花(さざんか)。また、梅・松・竹・蘭(らん)。 2 四つの文房具。筆・墨・紙・硯(すずり)。 ..
磨潤色先生之腹,濡藏鋒都尉之頭。
墨をするのは硯の丘でそのかたちは先生のおなか、その上で潤沢な色になるまで何度もこすります。それから筆にたっぷりと墨を含ませると鋒都尉の髷と頭のようです。
3. ・磨潤 まさつ、ぬれる。
4. ・濡藏 ・濡:男女が愛情を交わす場面。また、その演出・演技。色模様よりも濃厚で、特に元禄期(1688〜1704)に上方の傾城買(けいせいか)い狂言の中で形成された。2 情事。色事。ぬれごとし
藏:1 中にしまっておく。隠して表に現さない。「蔵書・蔵匿/愛蔵・家蔵・死蔵・収蔵・所蔵・退蔵・貯蔵・内蔵・秘蔵・腹蔵・包蔵・埋蔵・冷蔵」
2 物をしまっておく建物。くら。「土蔵・宝蔵」
3 すべてを包括するもの。「経蔵・三蔵・律蔵」
4 大蔵省のこと。「蔵相」
〈くら(ぐら)〉「蔵元/穴蔵・金蔵・米蔵・酒蔵」
[名のり]おさむ・ただ・とし・まさ・よし
引書媒而黯黯,入文畝以休休。
良い硯で磨ったよい墨、良い用紙に良い筆で書を書くことで仲立ちをするとそのあとは暗いことでまったく暗い所で致すだけです。詩文によって草書体の書は畝ってうねってそれからやすみ、そしてやすみます。
5. ・媒 1 結婚をとりもつ。なこうど。「媒酌/良媒」2 仲立ちをする。「媒介・媒体/鳥媒花」3 仲立ちとなるもの。「触媒・溶媒・霊媒」
6. ・黯黯 くらく、またくらい。顔色を失う。心配で心配で心を痛める。
7. ・畝 1 作物を植えつけたり種をまいたりするため、畑の土を幾筋も平行に盛り上げた所。2 高い所と低い所が1のように平行して連なった物や形。波や地形・織物などにいう。草書体の事と性行為の掛けことばになる。
この四つの文房具の中でも特に硯が重んじられ、多くの文人に愛でられる対象となった。使用しても消耗することがなく、 骨董価値が高かったためである。次に墨・紙という順で、筆は新しくないと実用的でないので骨董的な価値に乏しく、愛 玩の対象とはあまりならなかった。 唐代においても硯や墨の優劣について論じたという記録があるが、南唐文化の影響を色濃く受けた宋代以降に文房四 宝が語られることが多くなった。硯は端渓硯が最も有名であるが、歙州硯も同じくらい賞玩され、墨も歙州に名工と評さ れる李超・李廷珪父子が名を馳せ、張谷もこの地に移ってきた。紙についても、歙州にて澄心堂紙という極めて良質の 紙が産出された。宋初には硯・墨・紙について、歙州は代表的な生産地となっていた。これは南唐の国王である李中 主・後主の親子2代にわたる工芸優遇政策によるところが大きい。工人に官位を与え俸禄を優遇したため、優秀な人材 が集まり、技術が高度化して、優れた製品を継続的に生産できるようになったのである。 南唐期の文房四宝は歴代皇帝に珍重され、復元が試みられた。また、葉夢得・唐詢・欧陽脩・蘇軾・米沛・蔡襄など 著名な文人、書家も重用した。 |