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kami 紙 |
一、紙の種類
紙の種類と一口にいっても百種以上もあるといわれ、それを分類することは不可能に近い。
その理由として以下の通りである。
@ 中国、台湾、韓国のものが輸入され、日本産の名で売
られたりしている。
A A産地のものがB産地へ回り、B産地の名で売られたりして
いる。
B メーカーや問屋、専門店側で思い思いの名称をつけて売
っている。
そこで、あくまでもここでは書画用の紙を大まかに分けてみるはかない。ふつう紙は大別すると、洋紙、和紙、板紙に分けることができる。書道用の紙は、画仙紙、料紙、半紙に分けられ、これには手漉きと機械漉きとがある。まず、この三紙について簡単に述べよう。
@ 画仙紙
画仙というのは、中国において優れた画人の意。したがって優れた画人の使う紙という意味である。中国の宣紙の別称で稚仙紙、画桟紙などとも書く。これには中国製の本画仙紙と日本製の和画仙紙がある。本画仙紙は墨の吸収がよく墨色がよく出るが筆をとられて書きにくいところがあり、初心者にはむしろにじみの少ない和画仙紙のほうが向いている。
中国の宣紙 (本画仙紙)
| 単 宣 |
もろいが墨のにじみがあり、偶然性の効果が出せる。 |
| 爽 宣 |
宣紙を二枚重ねて漉いたもので、二層紙ともいう。厚くて破れにくい。三枚重ねは三層紙という。 |
| 玉版筆 |
光沢のある厚い最上紙。 |
| 煮ツイ箋 |
昔は厚手の宣紙を木槌で叩いて光沢を出したが、今日ではロールをかけ硬い厚手の宣紙としている。 |
| 羅文宣紙 |
紙を漉くとき簾目をそのまま宣紙に残したもの。薄手と厚手がある。織物の羅(うすぎぬのあや模様)に見えるところからつけられたが、唐代の紙である縦簾紙に似ている。 |
| 亀甲宣紙 |
連続して亀甲の紋様が漉かれている薄い高級宣紙。 |
| 虎皮宣紙 |
虎の斑紋様の入った宣紙。 |
| 冷金宣紙 |
金桟紙とも呼ぶ。金や銀の箔や金銀の砂子を使ったやや堅い宣紙。 |
| 蝉衣セン |
せみいせんともいう。蝉の羽のように透けて見えるところからつけられた墨のにじまない加工紙。 |
| 豆腐セン |
墨のにじまない加工紙。 |
| 雲母セン |
雲母を散らしたように砂子の光る宣紙。にじむのとにじまないものがある。 |
| ホウ古箋 |
淡いこげ茶色に染めた宣紙。 |
| 蝋箋 |
竹を原料とした宣紙に自重を混ぜ光沢を出したもの。濃墨でないと書けない。 |
| 唐 紙 |
竹を原料にしたもろい宣紙。一番唐紙、二番唐紙、白唐紙などがある。 |
| 詩 箋 |
詩や手紙を書くための絵人の小さな宣紙。名刺用紙、詩箋、便箋、封筒などに使用するものの総称。 |
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*このほか、画仙紙にはいろいろな名称がつけられている。 |
A 料 紙
料紙は、かな文字専門に使用される紙で、墨のにじみが少なく、細筆の流麗な線を表現するのに向いている。これには色彩を施したり、模様を加えたものも多く、たとえば金銀切箔装飾紙、下絵紙などもその一つである。
B 半 紙
手漉きと機械漉きとがあり、練習用に向いている。
以上のほかにも次のようにその名称を分けることができる。
●産地: 細川紙、出雲民芸紙、因州紙、名塩紙、土佐紙など
●原料: 格紙、雁皮紙、三権紙、麻紙、五紙、桑紙、藁紙など
●使用日的: 書画用紙、からかさ紙、襖紙など
三、紙の扱い方
紙は折れたリシワがよりやすい。また、シミがつきやすい。濡らしたりは厳禁である。常識的なことであるが、大量の紙は、段ボール箱のようなものに入れるとか、少数のものは、巻筒か画板に入れて挟む。紙は細心の愛情をもって扱うことが大切である。
四、紙の保管
中国の遺跡から前漢代のものと思われる紙と推されるものが発掘され、保存状態がよければ紙がいかに長持ちするか証明されている。
保存状態がよいということは湿気がないということである。紙は水を介して漉かれながら湿気を最も嫌うのである。砂漠の遺跡から紙片が発見されたことからもこのことは容易に肯ずけるのである。
次に、保管上の注意を掲げておこう。
@ 湿気のない通風のよい場所に保管する。かといって日光に当てたりしないこと。日焼けしてもろくなったり、波打ったりする。
A 通風のいい場所に、棚を作り、購入日付札をつけて整理しておく。引出式のものは便利ではあるが湿気がきやすい。
B 長期間保管のときは虫に食われないように防虫剤を考慮する。
(2)他の生産地・紙の種類・他
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書道半切 純手漉 画仙紙 ZX46/100枚入り
●その他の和紙の生産地
| ・秋田県 |
大文字紙 |
| ・岩手県 |
成島紙、
東山紙 |
| ・宮城県 |
柳生紙、
蔵王紙衣、
蔵王紙布(白石紙)、
(注)奥州白石紙には白石市鷹の巣の遠藤忠雄氏がいる。名紙漉人
遠藤氏は紙漉きがたつしいという。
丸森紙 |
| ・山形県 |
双月紙、
深山紙、
麻布紙 |
| ・福島県 |
海老根紙、
今泉紙、
山舟生紙、
上川崎紙、
鮫川紙、
畑田紙、
上遠野紙、
入遠野紙 |
| ・新潟県 |
湯の谷紙、
伊沢紙、
柳津紙、
小出紙、
麻布紙、
深山紙、
双月紙、
上郷紙、
加茂紙、
中国紙、
苔野島紙 |
| ・栃木県 |
程村紙 |
| ・埼玉県 |
細川紙 |
| ・東京都 |
東京だるま紙 |
| ・神奈川県 |
海底紙 |
| ・山梨県 |
大門書道紙 |
| ・長野県 |
内山書院紙、
丸子紙、
立岩紙、
安板紙、
松崎紙、
田立紙、
伊那紙 |
| ・静岡県 |
駿河半紙、
松野書道紙 |
| ・富山県 |
蛭谷紙、
五箇山紙 |
| ・愛知県 |
三河森下紙 |
| ・岐阜県 |
山中紙 |
| ・石川県 |
中島箔打紙、
相滝紙
(注)加賀紙衣に坂本宗一郎氏、加賀奉書に斎藤博氏がいる。
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| ・滋賀県 |
近江烏手紙 − 別名江州雁皮紙、成子ちか氏(滋賀県無形文化財) |
| 三重県 |
神礼紙 |
| ・京都府 |
畑紙、
鬼障子紙 |
| ・奈良県 |
御供養紙 |
| ・和歌山県 |
高野紙 |
| ・兵庫県 |
上月紙、
杉原紙 |
| ・岡山県 |
活川内紙、
高尾紙、
津山箔合紙、
(注)活川内紙の丹下哲夫氏は『手漉和紙の出来るまで』を刊行 |
| ・島根県 |
木次紙、
斐伊川紙、
桜江紙、
旭紙 |
| ・広島県 |
木野川紙 |
| ・山口県 |
瀬戸紙、
徳地紙 |
| ・福岡県 |
筑後紙 |
| ・大分県 |
弥生紙、
飛田用紙 |
| ・佐賀県 |
名尾提灯紙、
唐津半紙 |
| ・熊本県 |
宮地紙 |
| ・宮崎県 |
美々津紙、
穂北紙、
都城紙 |
| ・鹿児島県 |
蒲生紙 |
以上などがあり、昔から歴史も古く盛んだったところも多いが、今日では、小人数でやっているところがほとんどである。
二、紙の選び方
紙は文房四宝の中でも、作品の一部として最後まで残るものであり、筆、硯、墨とは違った性格をもっている。したがってこれの選択はおろそかにできないわけであるが、現実には誰かの推薦するものを使っているようである。
紙を選ぶときには、前項の種類、性質、色合、用途、値段などよく聞いて選ぶほか、試せるものは自ら試す。また、用途外の紙でも予期しない面白い線やニジミが出たりするものであるから研究する。
使い方では次のようなことに留意したい。
@ 紙は漉いてから数年経ったものがよい。漉き立てのものはパリパリした感じで、墨色も落着かない。古い紙は触れると柔らかく、ふくよかで滋味があり、墨色もよく冴え紙にのる。
A 乾燥・湿気がほどよいこと。紙は感じやすい少女のようで、また気むずかし屋さん。湿気のある日は発墨が良くなく、筆ののりも悪い。かといって、冷暖房で乾燥した部屋では、墨色が敏感に反応してくれない。
B 淡墨で試す。淡い墨をおいてみると、おっとりと柔らかくこジムもの、不安定にむらになってニジムもの、爆ぜるように二ジムものなどがあり、使用の目的によって紙を決める。

書道半切 純手漉 画仙紙 ZX46/100枚入り
